ケンブリッジの道ばたで出会ったイギリス人のおばあちゃんと知り合いになって、
日曜日の午後にお宅にお邪魔してお茶をごちそうになった。
彼女の名前はGreta。
彼女は、私が滞在していた寮から、町の中心とは逆の方向へ歩いて10分もかからないところにあるフラットに住んでいる。
ケンブリッジ大学は、ケム川をはさんでBacksと呼ばれる広い緑地を持っていて、
そのBacksに隣接して住宅街が広がっている。
Gretaの住むフラットも、その緑溢れる閑静な住宅街の一角にある。
私は、外国で他人の家におよばれしたことなんてなかったので、
いろいろ迷った末に、やっぱり手ぶらはよくないよなあと思い、
でも大袈裟なものを持っていってかえって気つかわせてもよくないし、と、
チョコレートショップで小さな包みを買った。
イギリスらしい小雨の降る中、彼女の家にたどり着いてみると、
私以外にもゲストがふたり。
イギリス人の老夫妻。おじいさんはスーツにネクタイをしめておられました。ひょえー
これって、小さなティーパーティなのかしら?
ふたりは、英語がよくわからない私に配慮してゆっくりと話してくれたし、
子供や孫の話なども、あたたかい家族なんだなあと思いながら聞いていた。
また、日本に行った時に日本人に親切にされた話なども。
Gretaは、ケンブリッジ大学に学んだ元医師で、
昔は何と中国で働いていたという。
今は既に85歳で、仕事は引退している。
しばらく話をしていると、Gretaが、この写真に写っている朱色の小さなテーブルを4人分出してきて
それぞれが座っているソファの脇に置いた。
そして、紅茶にミルクとお砂糖は入れますかと聞く。
私は、「ここはいっとかなあかんでしょう」と思い、
ミルクとお砂糖を入れてもらった。
左側にあるのは、crumpetというお菓子。
甘くない。ジャムのようなものをつけていただく。
その他、クッキーも出してくれて、
「これはbiscuitよ」というので、
cookieとは違うのかと聞いたら、
「cookie? ああ、アメリカの人たちはそういうのかもしれないわねえ。
でも私たちはbiscuitって呼ぶの」と言われた。すげえ。
イギリス人の、英語に対するいい意味でのプライドを見た気がした。
見知らぬあやしい外国人である私をあたたかく受け入れてくれて、
イギリス人の普通の家庭を見せてもらって、本当にいい時間をすごした。
彼らと一緒に写真を撮ってくればよかった、とすごく後悔している。
そして、帰国後はコーヒー派からちょっと紅茶派に傾き
つつある。しかも
お砂糖入りのミルクティー。
(2002.8.5)